2025/11/15 19:18

今回は去年フランスで出会ったルイ・ピエールというおじいさんについてのお話です


買い付けで蚤の市を物色して、少し休憩しようと近くにあるパン屋へ向かっていた時、すごい熱量で話しかけてきたのがルイだった。

モコモコに着込んでお手製のニット帽を被った私の姿が気に入ったようで、写真を撮りたい!と好奇心に満ち溢れた顔で迫ってきたのが出会いだ。

句読点もなく、抑揚もないままとにかく喋り続けるのが彼の特徴らしく、道端で止めどなく喋り続けて7〜8分くらい経っただろうか、お茶でもしないかい?と言われたので

ちょうどそこのパン屋さんでコーヒーを飲むつもりだったよ、といって一緒にパン屋に入った。

エスプレッソとクロワッサンをご馳走になり、しゃべるしゃべる…

私が英語もフランス語も理解していないことなんてお構いなしだ

まるで聞き流していると英語が話せるようになるCDを聴いてるような感じだった

店員が少し心配そうに見ていたけど、それでも私は楽しかった。

95%何を言っているのかわからなかったけど、ルイが見せてくれた写真たちはどれも彼の視界を切り取ったようで、まるで彼の脳内を覗いてるようだった

そして素敵な写真ばかりだった。

しばらく話して(というか聞いて)パン屋を出たところでまた立ち話をしていたら

また、止めどなく話す老人に捕まっているジャポネを心配したであろうおばあさんが話かけてきてくれた。

彼女はパリで英語の先生をしているアメリカ人だった

名前は忘れてしまった。

3人でしばらく立ち話をしてから、今度写真を送るねと言って彼は去っていった。

ご老人だし私の英語が伝わっているかもわからないし、写真はきっと送られて来ないかもしれない、と思いながら私も歩いた。


買い付けも無事終えて帰国し一ヶ月くらい経った頃だろうか、メールが送られてきた。

ルイからだった。

あの時はとても楽しかったという文章と、私の写真、と、他にもたくさんの写真を添付してくれていた。

それから定期的に写真と詩的な文章を送ってくれるようになり、謎のメル友関係が始まったのである。

こちらから送ることもなくて、返事も全てに返しているわけでは無いのだけれど

最近ではルイからのメッセージが楽しみになっている。

かれこれもう一年経った。

フランスでまた会えるといいな。


最後にルイから送られてくる写真を少し

写真家のような綺麗なそれではないけれど、瞬間の空気が伝わってくるような

素敵なものばかり







これはルイの若かりし頃だそう


モコモコの私とアメリカのおばあさん
こういう出会いはとても好き、大切にしよう。